競売不動産 実際に体験した占有解除 東金戸建て編

こんにちは、なまず大家です。

今回は、以前落札した戸建ての占有解除についてお話します。

競売するにあたって、必ず直面する『占有解除』です。これがあるから、競売って怖そうだしめんどくさそうだなあとおもっている方も沢山おられると思います。ちょっとでも実際のところどんな感じなのかが伝われればとおもいます。

この記事でわかること
✅占有解除とは?

✅占有者がいなくてもやらなければいけない残置物対応

✅なまずが体験した東金物件の占有解除について

『占有解除』とは?落札後にやらなきゃいけない事

競売における『占有解除』とは?

戸建ての競売物件は、かなりの確率で競売にかかったか持ち主の方が住んでいます。もしくは元奥さんがすんでいたりと占有者がいる場合があります。その占有者に出てっていただくのが占有解除です。

われわれ庶民が行う戸建て投資の場合は、多くは転売事業ではなく家賃インカム目的の投資です。業者さんならノータイムで占有解除を行い、出てってもらって転売します。我々の目的は家賃収入なので、場合によっては追い出す事が目的ではなく条件によってはその方から適正な家賃をとって住んでもらう選択肢も有りだと考えています。

ですので私がおこなっているのは、追い出す事が目的ではなく条件しだいでそのまま入居してもらって正式な契約を結ぶことをゴールとしてます。勿論条件があわなければ、でてってもらうしかありません

占有者が立ち退きに応じなければ・・・

色々な交渉材料などについては省きますが、占有者がでてってくれなければ我々落札者には「強制執行」できる権利があります。

これを使えば、時間と費用は掛かりますが占有者と交渉する必要もなく粛々と申し立てれば裁判所が執行してくれます。ただし、賃借件がいつの時点で設定されたか?等占有者に対抗できるかどうかもあるのでその辺は別記事で書いていきたいと思います。

また強制執行がいつ何時できるかといったら、占有者の属性によっては難しい場合もあるので注意してください。

では占有者がいなかった楽なのか?!

競売では、空き家になっている場合もあります。空き家だと当たり前ですが、占有者がいないので占有解除を行う必要がありません。「楽じゃん!空き家だけ入札する!」という風になりそうですが、良い事ばかりではありません。

『残置物』の問題がのこります。競売で落札した対象はあくまでその不動産であり、中の残置物は含まれません。

ですのでゴミのような残置物でも落札者が勝手に処理するのはリスクが伴います。

処分した後に、「残置物の中に金塊があったんですが知りませんか?」などと輩が来ないともかぎりません。ですのでその場合は持ち主とコンタクトして、残置物放棄同意書を取り付けないといけません。

ですので占有者が住んでようがいなかろうが、どちらにしても一度話をつける必要がでてきます。その話をつける一連のストーリーが今回の東金戸建て編です(笑)前置き長くなりました。

占有解除 東金戸建て編

物件スペックと占有者について

物件状況と占有者はこんな感じ
①築35年の戸建て②事業用融資の担保にこの自宅が設定されて、返済が滞り競売に

③三点セットでは、お父さんと三男が同居していたと記載

④写真では家具など35年分の家財道具がたんまりと

⑤破産管財人の弁護士が設定されていた

こんな感じで、本人も住んでるし破産管財にもいるから話せば穏便におわるな!とおもってました

破産管財人についてはコチラ。

合わせて読みたい

落札後、現地にとんでピンポン

落札したらまずは手紙を書いてコンタクトをとる方も沢山いるとおもいます。ですがわたしのやり方はまずはすぐに裁判所へいって執行官が集めた資料を確認します。

その資料の中に、占有者への連絡方法が記載されている事があります。今回は住んでいる前提だったので担当破産管財人の連絡先をゲットしました。また、裁判所の記録に手紙を送っても本人から返信がなくなった履歴が複数回書かれていて嫌な予感がしました。

まずは破産管財人に連絡をとり、今後の対応策をきめよとおもいすぐに電話。

結果は財団がすでに該当物件を放棄していており、交渉不成立でした( ゚Д゚)

管財人と話せばすぐ占有解除できるとおもっていたので少々戸惑いました。仕方がないので現地にとんで直接交渉です。

ところが玄関にはキーボックスがあり、雑草もあり半年くらいは誰もすんでないような雰囲気・・・・ ポストからあふれていた電気の記録をみると半年くらいのものも・・・

近所のおばちゃんへの聞き取りから、半年ほど前から2人ともいなくなったとのことでした。

三点セットの内用は半年以上前の事がかかれているので、タイムラグがありません。本来なら現場確認で事前に把握するべきですがこの物件は現地視察無しで落札してますww

持ち主探しの旅が始まる・・

中をまどから見ると残置物が山のようにあります。

残置物放棄の契約を交わすのと鍵なども欲しいので出ていった二人を探す旅がはじまりました。残念ながら裁判所の記録には一切移転先などの情報がなく、頼る事ができません。

こんな時に助かるのが近所のおしゃべり好きのおばちゃんです。商社時代に培った満面の笑顔とうわべトークの武器があるワタクシが本気をだせば大体おしえてもらえます!3人のおばちゃんからヒアリングして以下の事がわかりました。

おばちゃんが教えてくれた情報
①七年前に奥さんが亡くなって生活ぶりがおかしくなった

②パットさいで〇あのローンを組まされたのも資金繰りが滞った理由だろう

③長男次男とお父さんは折があわず喧嘩がちだった

④三男は30過ぎているのに働かずニートだった

⑤半年くらい前から急にいなくなっていた

⑥どこにいったかはわからないが、長男さんの住んでる場所なら何となくわかる

⑦生活保護をうけているらしい

くだらない情報もありましたが、⑥の情報を元に長男を探す事にしました。

その情報はこちら

「〇✖警察所の裏らへんに住んでいる」

アバウトすぎて泣きそうですが、そうも言ってられませんww

長男家を捜索

警察所付近を歩き回って、債務者と同じ姓の家を3件見つけ3件目ピンポンでようやく長男の家を見つけられました。お嫁さんが出てこられて、義父の名前を出すと怪訝そうな顔つき・・・その当日は回答もられませんでしたが、後日旦那から電話するとの約束をとりつけました。

数日後長男から電話が

「父とは15年ほど前から連絡を絶っており、行先については一切わかりません。今後このようなコンタクトはしないでください!!」

おっと、ドラマのような展開で持ち主の居所が分からなくなりました。

困り果てていたら結局・・・・

持ち主に会えない以上は残置物を安全に処理するには強制執行しかありません。しかしあの残置物の量をみると軽く50万は超えそうです。強制執行を覚悟していたら、あっさり住んでる場所がわかりました。

裁判所へ登録免許税を支払うのですが、その計算をする際に固定資産税評価証明が必要になります。

その評価証明を市役所で取ったら、現住所が乗ってました(笑)

今までの苦労はなんだったのかと絶望しましたね。

いよいよ元持ち主に会いに行く

元持ち主の方Aさんは市役所近くのワンルームアパートに住んでいました。

70代男性とは把握していましたが、実際会うと見た目はもっとおじいちゃんでした。

わたしも元持ち主との交渉はそんなに経験をつんでいなかったので緊張していました。一連の状況を説明して、鍵と図面と残置物放棄の同意書にサインしてほしい旨を伝えました。

リアクションはあっさりと「わかりました」と鍵・図面用意してもらい同意書のサインももらえました。Aさんは最後まで私の事を任売業者だとおもっていたようで、任売でうられたのか競売で落札したのかちょっと理解しきれていないようでした。

交渉相手が悪人前提のシュミレーションをしていた私としては、拍子抜けでした。

Aさんは会っている時何度も「あんなに荷物を残して申し訳ない、お金がないのでどうする事もできない」と何度も私に頭をさげていました。世間話や、家族のはなし、いまの健康状態などの話もしました。ごく普通のおじいちゃんです。借金返済できず飛ぶんだからとんでもない奴しかいないだろうと勘ぐってた自分を恥じました。

 

後日残置物の確認で家に入りました。位牌はありませんでしたが、仏壇がありました。35年分の生活のすべてがつまっていました。子供部屋は3部屋あり、ファミコンやらプレステやら沢山のこっていました。小学校のころの賞状やら思い出の品も沢山ありました。ランドセルもありました。

 

アルバムも転がっていたのでちょっとだけ見てみました。Aさんが若いころ、長男とおもわれる子供と写っている写真を見ると本当に胸が痛くなったのを今でも鮮明に覚えています。ちょっと背筋を伸ばして生きていこうとおもいました。

現在東金物件は入居者もつき、収益物件として順調に回っております。通常売買では体験できない事が沢山あったのでよい勉強になりました。

長い間お付き合いありがとうございました!まだ野田編とか愛川町編とかありますのでこうご期待。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。