始めてみよう不動産競売 【その6 占有解除編(仮)】

こんにちはなまずです。更新すっかりさぼりご無沙汰になりました。占有解除については、パターンが多岐にわたり書くのがおっくうになってました(笑)

タイトルに『占有解除編(仮)』とさせていただきましたが理由があります。私自身、占有解除を自分で行った事がまだ5回しかないのでとてもすべてのパターンを網羅できないと考えたからです。

先輩から聞いたことや調べたことも加味して記事にしていきますが、やはり自分で体験してないと説得力がないと思いました。今後経験していったらその内容を反映させて『仮』が消えるまでがんばりたいと思います!!

なまず
この記事でわかる事はこんなことです!!
☑占有解除とは

☑タイプ別占有解除の方法

☑占有解除の基本

☑占有者とのコンタクト方法

☑コンタクトするタイミング

☑占有解除が困難を極めそうな物件

最初にも書きましたが、競売不動産が一般市場より安くかえる(事もあるw)のはこの『占有解除』という敷居の高い作業があるからです。競売不動産の花形なので楽しめるくらいになりたいですね(笑)

『占有解除』とは?

そもそも占有解除とは?

ここで前回までの競売の流れから、今回説明する占有解除についてお話します。

おなじみの競売フローチャートですが、占有解除は紫部分の作業になります。

 

『占有解除』という作業について説明します。

競売で落札すると、土地および家屋の所有権が残金納付した当日の24時より自分のモノになります。その際に、競売にかかった人が住んでいる場合と住んでおらず空き家の場合が多くのパターンです。

住んでる場合は、穏便にでていってもらうよう交渉する。穏便に出て行ってもらえないなら裁判所で強制執行の段取りを取る。

 

空き家の場合は、残置物なければ問題なし。残置物があれば、そちらの所有権は競売にかかった人のものなので撤去してもらうかこっちで処分してもよいという許可を取る必要があります。

この一連の作業を『占有解除』とよんでおります。

占有解除のパターン

占有解除にはいくつかのパターンが存在します。このブログでは戸建てもしくは区分を想定しているので戸建てか区分の場合の考えられるパターンについて説明します。

実際に占有者が落札した物件に住んでいるパターン

①債務者本人が居住している場合

戸建てでよく遭遇するパターンです。落札した物件に債務者本人が住んでいる場合です。

住んでいるので厄介そうですが、ピンポンすれば本人とコンタクトができるので『債務者とコンタクトできない!どうしよう!』という事態にはなりません。

基本スタンスは落札後本人とコンタクトをし、今後について話し合いをします。選択しは2択です。

家賃を払ってそのまま住み続けるのか出ててもらうかです。

そのまま居住していただく場合には賃貸事前合意書を作成し、自分が指定する不動産仲介にいって本契約をお願いします。もちろん自分で賃貸契約書をつくって契約してもかまいません。私は火災保険とか保証会社とか面倒なので仲介さんに契約してもらいます。

ここで問題がでるのは保証会社の問題です。競売にかかっている方なので多くの保証会社は通りません。ですので親族から連絡保証人をだしてもらうか、息子さん名義にするとかある程度作戦を考える必要があります。

もし支払い能力もなく、家賃を払う意思がないのであれば早々に退去してもらいます。競売にかかった方は時間的にルーズな方も多いので『退去合意書』なるものを作成し、双方で合意した事を書面にのこします。

数日内にでていってもらいたい所ですが、わたしの場合は3週間前後の期間を引っ越し期間として用意しています。

②債務者以外の人が居住している場合

債務者以外に住んでる人とかありえるの??!と思うかもしれませんが、これも2パターンにわかれます。

賃貸契約をして第三者が居住しているパターンと元嫁や親など身内の人が使用貸借で占有している場合です。

賃貸契約をして第三者が居住しているパターンというのはいわゆるオーナーチェンジの物件になります。このケースは2回区分マンションで経験しましたが、あっさり処理できました。

基本的にこの場合は債務者にコンタクトする必要はなく、入居者および管理会社がいれば管理会社に連絡をとります。そして名義が変った旨を説明し、家賃の入金先のルート整理を行います。

もう一つは債務者の身内がただで住んでいる場合です。賃貸契約していないで無償ですんでいるので、使用貸借といいます。よく見かけるのは、離婚した元嫁がそのまま住んでいるパターンですね。

使用貸借物件も作戦としてはそのまま入居してもらうか退去してもらう方針となります。

ただし、使用貸借はいままでずっとただで住んでいたのでいきなり何万円という家賃を払うのが受け入れられず最終的には退去の方向に行く方が多いようです。

使用貸借者はただで住んでいたので、立場的には弱いです。賃貸契約がある場合は、退去は6か月間猶予されますが使用貸借にはそれがありません。

使用貸借者にはその旨を理解させて、早急にだていってもらうよう段取りしたいです。①も②も退去してもらう場合は残置物放棄同意書のサインも取り付けましょう。出て行ったあとに万が一残置物がのこっていたら厄介ですので。

占有者がおらず空き家のパターン

だれも住んでいない場合も対応方法は2パターンあります。

①誰も住んでなく尚且つ残置物がない場合

前者の残置物がないパターンは一番楽です。そのまま鍵屋さんよんで、入ればOKです。残置物があるかないかは三点セットを参考にします。『家財道具などがほとんど見られない』等の表現や写真で判断します。

 

②誰も住んでなく残置物だけある場合

債務者とコンタクトをとり残置物を撤去してもらうか残置物放棄同意書にサインしてもらう必要があります。

というのも競売で落札するのはその土地や家屋だけで残置物まで権利は含まれません。

ゴミ同様に見えるものでも、『あそこに現ナマ300万隠しておいたのにどうしてくれるんだ!!』という輩対応に備えて放棄同意書は必ず取りましょう。

 

筋からいくと当然残置物は債務者に撤去してもらいたいですが、金銭的事情から撤去できない事がほとんどです(もちろん撤去できそうならそちらの方向で交渉)。

ですので、こちらで処分費用負担するのでこれにサインしてくださいとまとめざるを得ないケースがほとんどです。

具体的な占有解除の進め方

占有解除のパターンをお話ししたので、具体的に進め方について書いていきます。

ステップ1 債務者の連絡先を探す

債務者とコンタクトするのは占有解除を進める上での第一歩となります。

空室で尚且つ残置物がない場合でも、連絡すれば昔の図面や鍵を譲ってもらえるかもしれません。ですので落札したらコンタクト方法を確保するのは第一歩となります。

債務者とのコンタクト方法
①物件に住んでる場合は手紙かピンポン

②落札後の裁判所内で資料を目を通し、執行官が電話番号や新住所を記載してないか確認しそこにコンタクト

③破産管財人が設定されていれば、その担当管財人に連絡

④近所のおばちゃんに引っ越し先を聞く

⑤固定資産税評価証明に納税者の住所があるのでその場所へコンタクト

これくらいの方法が想定されます。一番単純なのは住んでいる場合です。これは簡単ですよね、ピンポンするか物件住所に手紙を送ってコンタクトをとります。

私が落札した物件は、三点セットの時には住んでいたが落札したらも抜けの殻パターンが多く結構あせりました。結局は近所のおばちゃんパターンと固定資産税評価証明書でたどり着けました。

あわせて読みたい

裁判所での資料の閲覧についてはコチラを参考にしてください。

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運悪く連絡がつかない場合、選択肢は2つあります。

強制執行を行うか、リスク承知で任意解除を行うかです。

後ほど説明しますが強制執行は時間と金がかかります。任意解除は自分で勝手に開錠し残置物を処分しちゃいますが、民事的に債務者から残置物について訴えられるリスクがあります。

 

ステップ2 コンタクトの方法

競売本では『債務者は色々大変な思いをしてここまでいたっており、訪問者や催促の手紙にうんざりしている場合が多いので、目に留まるように手書きのはがきをだす』としているのを良く見かけます。

理に適っていると思いますが、私は一度もやったことありません。手紙を送ると基本的に連絡待ちになってしまうので、それが耐えられません(笑)

私の場合は住所がわかればピンポンで訪問、不在であれば置手紙や貼り手紙をしてきます。電話番号がわかれば、すぐに電話をします。

『名義は私になったのですぐにでてけ!!!』とは言いませんよもちろん。

伝え方の方針としては、下記の点に留意してお話しています

☑競売を落札したもので、まずはご挨拶でうかがいました

☑不動産業者でないのですぐにでてけとは言いません

☑条件によっては住んでいただくことも考えてます

☑こうゆう形ですがなにかの縁ですので、お手伝いできるところはいたします

☑上記踏まえ一度今後についてお話する場を設けさせてください

☑強制執行を行えば、あなたと交渉せずとも追い出すことはできると暗におしえてあげる

こんな感じで話します。幸い輩債務者にはあったことないので、これで円満解決していますね(笑)

あまり下からいっても交渉に不利になると思うので、強制執行というカードの存在は知らせるようにしていますね。

ステップ3 債務者と会う

ステップ2でコンタクトを取り、話し合いの場をもうけます。

会う場所ですが、落札した物件内ですと第三者の目がないのと相手のホームになってしまうので極力外で場を設けてます(ファミレスとか喫茶店)

相手の精神状況にもよりますが、やはり第三者の目がないと不測の事態が怖いです。

あとは知人でも友達でもいいのでもう一人連れて行くと心強いです。

私は最近は一人で交渉の席にいきますが、最初は友人についてきてもらいました。『ただ座ってればいいから一緒にきて!』みたいな感じですねw

ちなみにですが、相手が本人かの確認は必須です。免許書を事前にもってきてもらうようにしましょう。その際に相手にだけ免許書みせろ!だと警戒心を招くので、自分から見せて相手にも見せてもらうようにしています。

 

ステップ4 いざ交渉!!

継続入居でまとめる場合

わたしのやり方ですが、継続入居希望の場合あらかじめ付近の家賃相場資料を用意しそれを提示して〇万円で貸そうと考えていると交渉を始めます。条件としては、基本家は現状のままに使ってもらう(ただし雨漏れ等重大な欠陥は対応する)のと保証会社の審査が通る事です。

相手の収入状態を聞いて、厳しいそうなら(大体は厳しい)連絡保証人の準備ができるかどうかと親族(お子さんなど)名義で契約はできないかと打開策を模索します。それでいけそうなら、賃貸契約事前合意書で条件面を固め、それをもとに近くの不動産やにいってもらい契約書を撒いてもらいます。

その際手数料の1か月分はわたしが持ち、火災保険・保証会社は不動産やさんにあげます。節約したければ自分で契約を撒いてもかまいません。

保証会社の審査が通らない事があると、また一から話し合いなのでそのリスクは承知して交渉を行いましょう。

事前に準備するもの

☑付近の家賃相場資料

☑賃貸契約事前合意書(家賃や入居条件などがわかるもの)

☑印鑑(自分と相手)

退去でまとめる場合

継続入居の意思がない場合は早々に退去の方向でまとめに行きます。

スタンスとしては、すぐにでも退去いただけると助かりますが引っ越しの準備もあるでしょうから2,3週間ほど差し上げますといった感じです。

もちろん自分の所有物に居座っているので、さっさと出て行って欲しい気持ちがありますがそれは押さえます。そして多くの債務者は引っ越し費用の捻出も厳しい場合があります。

その場合退去を合意してくれた退去合意費としてお金を支払います。

基本は0円で、場合よっては合意費を設定。わたしの設定範囲は5万~15万くらいで事前に落札費用に織り込んでます。

ちなみに今まで一度も支払った事ありませんww 全部0円解除できてます、ラッキーなだけかもしれませんがw。

退去の方向性がきめれば、退去合意書にサインさせます。退去の期限と合意費の記載や退去期間が過ぎた後の残置物は放棄するなど網羅しておきたいです。

事前に準備するモノ

☑退去合意書

☑残置物合意書

☑合意費があるならその手付金分と領収書

☑双方の印鑑

合意費はもちろん全額は渡しません。引っ越しが完了してから残金を渡しますので注意してください。手付金分を渡したらちゃんと領収書をとるようにしましょう。法的に手付金を受け取ったという確固たる証拠になります。

できたら欲しいモノ

退去の際にできれば手に入れておきたいものがあります。

退去交渉で手に入れたいモノ

☑鍵

☑家の図面など

☑クーラーなどが残っていれば保証書など

鍵がある鍵屋さんを呼ぶ必要がないので、2万弱のコストダウンになります。図面があればリフォーム時や売却時に多少便利になりますので是非とも手に入れたいです。

場合によっては鍵は幾らで買い取りますとか金額を提示してもいいかもしれません。

交渉決裂したら・・・

相手によっては交渉が決裂したり、そもそも交渉にならないケースも考えられます。また交渉することがヤバい相手の可能性があります。

その場合は迷うことなく強制執行です。

強制執行は最高価買受申出人に与えられた権利で、通常強制執行を行う場合は裁判をおこしてその判決(債務名義)をもってやっと強制執行ができるようになります。

競売で落札した場合は、落札した時点ですでに強制執行を行う権利があります。

ただし、強制執行を行うにはお金と時間がかかります。実は私も強制執行童貞で、まだ体験したことありません(是非とも体験してみたい)。競売仲間が何名か経験ずみなので、話をきくところだとざっくりこんな感じらしいです。

期間的には2か月~3か月、金額は残置物の量にもよるが戸建てなら40万~100万かかるそうです。

ですので強制執行が必要そうな物件を事前に見極め、強制執行前提で予算組をするのがポイントになります。

たとえば、陳述書をみて『こいつ交渉にならなさそうだなあ』とかですね。その場合は最悪強制執行になる事を想定し、入札金額を調整します。

ちなみにファイナルウェポンの強制執行が使えない場合もあるそうです。その場合は・・・・・ちょっとどう処理するか私もわかりませんww

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ステップ5 各合意書を元に開錠し物件へ

退去であれば、退去合意書をもとに退去立ち合いを行います。空室で残置物放棄同意書をもらった場合は、鍵屋さんをよんで開錠しさっさと残置物処理を行います。

もちろん鍵を手にいれていれば、それで開ければOKです。

これで占有解除は無事完了です♪

占有解除が難しそうな物件を避ける

競売初心者の場合は三点セットをしっかり読み込んで、占有解除が自分で解決できるレベルのモノかどうかの判断をくだすのが重要です。

こんな感じなのはお勧めしません。

占有解除が困難な物件

☑陳述書から読み取れる交渉不可能感

☑身寄りのないお年寄り・障碍者の占有者がいる

☑8〇3を匂わすモノがある

☑持ち分が100%でないや権利関係が複雑

☑執行官が安全の為警官を連れて内見してる

上記のようなものがあります。特に陳述書は執行官とのコミュニケーションの履歴であり、やばい奴はそれなりのやばさがわかるように記されています。

初心者のうちはこのような物件は避け、ちゃんと話し合いが成立しそうな債務者がいるもしくは占有者がいない物件をチョイスするほうが賢明です。

当然ですが、上記のような物件は競売参加者も少なく好利回りを狙えます。実際私は警官同行激やば統〇失〇症案件で成功しました。

ある程度キャリアを積んで調整してみましょう。

ヤバそうな物件は金額見積もった際に最初から強制執行費用を入れます。それでも利回りでるなら、ありだと思います。

占有者・債務者とのコンタクト時期について

これは私個人の考え方なので推奨はいたしません。

コンタクトするタイミングについてです。正攻法からですと、裁判所で残金納付した日の24時をもって自分のモノになるのでそれからコンタクトを開始ということになります。

その際は残金納付書をエビデンスとするか、もしくは納付後数週間後におくられてくる更新済の謄本をエビデンスとします。

ただし、この方法だと落札してからかなりのタイムラグがでてしまいます。

わたしの場合ですが、占有者が物件にいるということがわかったいれば落札当日にコンタクトかけます。

 

もしくは落札後に裁判所で資料を閲覧し、債務者の住所を特定したらすぐにピンポンしに行きます。

私が今ままで経験したケースでは『落札した者なんですが』と説明すれば話し合いには応じてくれました。そこの話し合いの席を段取りしつつ、残金納付をしました。

厳密にいえば、落札の時点では所有権も移っていないので正攻法ではありません。皆様の自己責任のもと行ってください。

もうちょっと立場を強くしたいなら、落札後1週間から10日で申請すればもらえる売却許可決定書をエビデンスとして持参します。

あわせて読みたい
過去記事【売却許可決定とは?

 

 

今回はだいぶ長くなりました。まだ書き足りないところもあるんですがここまでとします。今後自分で体験したり分かったことはその都度この記事をアップデートしていきたいと思っています。

契約書のひな型については公開しようか迷ってます。ネットで拾ってけて私が肉付けしたものですので権利関係とかあるのかしら??

占有解除は競売で一番厄介な部分ですが、それだけに制するものはそれないの対価を得る事ができます。わたしもですが、一歩一歩難易度の高い交渉をまとめられるよう頑張りましょう!!

 

 

 

 

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