始めてみよう不動産競売! 【その2 三点セットの読み方】

こんにちはなまずです。前回に引き続き、不動産競売のやり方を解説していきます。今回は三点セットの読み方についてです。

前回お話ししたとおり三点セットは一般流通不動産におけるマイソクのようなものです。多少癖のある構成になっていますが、不動産投資をかじった事ある方ならへっちゃらだとおもいます。

この記事でわかる事
✅三点セットの読み解き方

✅簡単な要点のつかみかた

✅これはやばいからパスしたい物件

こんな事がわかります。対象ですが、軽く不動産投資をかじったことある方向けですのでその前提で説明をしていきますね。

前回の三点セットの入手方法についてはコチラを一読ください

三点セットの構成をざっくり把握

三点セットは実は4部構成されているんですw

前回の記事をよんでいただいたかたは、手元にPDFの三点セットがあると思います。一部でいいので、プリントアウトしてみてください。ぺらぺらめくってみればわかりますが、不動産投資をかじったことある人ならなんとなく物件情報を精査できると思います。

ちなみに、おすすめはA4一枚に4面取りでの印刷です。三点セットは結構な枚数になるので、私はこのパターンで印刷するようしています。

これまで三点セットと『三点』ばかり強調しておりましたが、実は4部構成なんです。ざっくり各部の書いている内容をまとめます。

三点セットの構成
①期間入札の広告

⇒売却基準価格や入札の期間、担当支部、他注意事項

②物件明細書

⇒物件の住所や地上権、占有者や他注意について

③現況調査報告書

⇒執行官が調査して知りえた事、陳述書、写真など

④評価書

⇒不動産鑑定士が金額をはじき出した根拠について

こんな感じで各部が構成されています、それを全部合わせて三点セットとよんでいます。

『期間入札の広告』の読み方

期間入札の広告では、その競売の番号や期間について、また基準価格などについて書かれています。価格および期間は重要なのでしっかり確認しましょう。

一枚目で確認すべきことは三点あります。

①右上の事件番号の確認:この事件番号が該当物件を表す番号になっております。各地方裁判所ごとに割り当てられます。

入札期間の確認:入札する期間や開札日、特別売却の日程につてい書かれています。当然期間内に入札申請を行わねばなりませんので、要チェックです。

③その他注意すべき点がかかれています。通常はとりわけ気にする必要はありません。

事件番号についてですが、例では(ケ)となっていますが、(ヌ)の場合と2パターンが存在します。

事件番号(ケ)

担保不動産競売で、住宅ローンの支払い不能で担保権が実行され差し押さえられたもの。競売の8割~9割方がこの担保不動産競売

事件番号(ヌ)

強制執行による競売で、裁判などの債務名義により、強制的に売り出されたもの。大体、全体の1割くらいで本数がすくない

わたしもそうですが、基本(ケ)の案件しか入札しません。(ヌ)のほうが、ある程度キャリアを積んでおこりうる問題を解決できる自信がついてからのほうが無難です。

なんで?って言われると私も『こうだから!!』って明確に答えられないのですが、(ヌ)の強制競売のほうが権利関係が複雑な場合が多いです。例えば、家の持ち分30%だけとかなどがです。また担保競売の場合は、債務者自身も支払いができなくなったら自分の家は取り上げられると認識していたのに対して、強制競売の場合は家がとられるとまで思ってないケースが多く落札後の抵抗などトラブルに発展することが多いらしいです。またのちのちお話しますが、取り下げも多いです。

2,3戸落札してからでもおそくはないので、それから(ヌ)を選んでいきましょう。もちろん、(ヌ)は参入障壁が高いので基準価格も安く、参加者もすくない傾向になるのは間違いありません。

 

入札の期間についても補足しておきますね。

入札期間

⇒入札が行える期間、この期間内に入札必要書類が執行官室に到着する事が大事。期間はずれたら当然無効になります。

開札期間

⇒開札日がかかれています、時間もありその当日に裁判所にいけば生で開札を観戦できます!

特別売却実施期間

⇒特別売却とは入札期間内に一人も該当者がいないときに行われる売却方法で、この期間内に早い者勝ちで落札できる。当然最初に手をあげた人間は最低金額で落札できる。

期間入札と特別売却の関係は上図のようになっております。順調に落札者がでれば一回目の期間入札で決定となりますが、そこで誰もいないと特別売却にすすみそれでも誰もいないと基準価格をさげて2ターン目に進みます。

2ターン目でもいない場合は、3ターン目はいります。3ターン目でも該当者がいない場合、その物件は取り下げとなります。

割高な物件や、訳ありの物件は2回目、3回目に進むことがままあります。2回目の物件をみかけたら、なぜ一回目では落札者がいなかったのか?という観点で読み解く必要がでてきます。

広告の2枚目も重要になります。確認すべき項目は4点。『事件番号』『売却基準価格』『買受申出保証額』『固定資産税額』を確認しておきます。

事件番号⇒入札書類に記入する際に必要になる。家1戸、土地1筆なら1、2と2つの物件番号がある。

売却基準価格⇒不動産鑑定士がはじき出した物件の基準価格。その計算の内訳が評価書でかかれている

買受申出保証額⇒入札時には基準価格の2割以上の保証金を裁判所に振り込む必要がある。その保証金額の最低価格を記している、当然これ以上振り込んでもOK。この2割保証金制度があるために、競売の敷居が多少たかくなり市場が荒れずらい一因となっている。

固定資産税⇒物件の固定資産税額がわかる。不動産取得税や物件価値をおおざっぱで見定める指数となる。金額がたかければ物件の価値は高いと考えてよい。

特に保証額については、入札して開札が終わるまで落札できなくても裁判所に預けてお金ばなりません。ボロ戸建てでも1回で20万くらいですから、数件入札するとキャッシュが回らなくなることもあるのでちゃんと確認しておきましょう。

 

3枚目以降は物件目録になります

ここまで来てようやく物件の概要がわかってきます。該当物件の住所や地目、広さや所有者について書かれています。必ず確認すべきポイントは所有者について。

上の例では物件番号1の宅地がAさんとBさん2人の持ち物となっています。名義人が何人いようが構いませんが(複数いると占有解除の際少々面倒ですが)、問題は持ち分が合わせて100%あるかどうかです

この例ですと、Aさんが3分の2で、Bさんが3分の1で合わせて3分の3で100%の持ち分がありOKです。

仮に家の持ち分が50%しかなかった場合、落札しても半分しか権利がありませんので調理するのが大変です。まずは持ち分がしっかりしている物件を選び、100%に満たないものは見切りましょう。

よくあるのは、道路を付近の住民と一緒に分け合って持ち分をもっているパターン。この場合は問題ありません。全面道路に自分の持ち分がある事で、インフラやら通行権やらちゃんとした権利を主張できるようになります。

特に持ち分に記載のない場合は、一人の人間が持ち分をもっているパターンなので安心してください。

『物件明細書』の読み方

物件明細書は一枚だけです、前の物件目録を参考にしながら読み解きます。

1~5の項目をすべて確認する必要があります。

物件明細書の確認事項
1⇒前ページの物件目録で確認

2売却により成立する法定地上権の概要⇒『なし』である事を確認。なし以外では土地と建物の所有者が異なるなど厄介なのでスルー推奨

3買受人が負担することとなる他人の権利⇒『なし』である事を確認。賃借権・敷金・他権利があった場合はそこの確認を行う

4物件の占有状況⇒『本件所有者が占有している』でOK。空き家であっても、このように記載される。使用貸借等で関係ないやつが占有していたら厄介なのでスルー

5その他買受の参考となる⇒素直な物件には記載ない。記載があればそこを重点的にチェックする

最初のうちは2以降は『なし、なし、本件所有者が占有、なし』のパターンのみをチョイスするべき。それ以外は記載事項のリスクを承知した上で入札するべき。

『現況調査報告書』の読み方

現況調査報告の構成

現況調査報告書は下記のように構成されています。

1、表紙

2、土地・建物について

3、関係人の陳述等

4、執行官の意見

5、調査の経過

6、図面や現地の写真

このうち、陳述や執行官の意見は一番大事です。また現地の写真は内部を客観的に判断できるすくない資料なので欲しい物件は穴が開くほど確認しましょう。競売のデメリットとしては、内見ができません。現地調査にいったとしても、さっと外観を確認するくらいです。猛者はピンポンして、話しかけるとかやっているようですが、コミュ症の私はピンポンなんて絶対しませんww トラブルになる可能性もありますからね。

土地・建物について

確認すべきは、2段目の住居表示くらいでしょうか。他の占有に関してなどはすでに確認済なので流し読みでOKです。

例では住居表示が未実施でないですが、あればその住所Googleマップで検索できます。物件目録にある住所は住居表示用の住所ではないので、物件によっては検索にかからずブルーマップで住居表示住所を探す必要がでてきます。多くの住所は住居表示と同じなので、そのまま検索できますが検索できない場合はブルーマップを使うか、添付資料にある地図からグーグルマップとにらめっこして場所を特定します(笑)

ちなみに『大字・字』のある住所をGoogleマップで検索するにはコツがいります。過去のblogを参考にしてみてください!

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関係人の陳述等

ここには担当執行官が関係者へヒアリングをしな内容が記されます。関係者とは物件を占有している持ち主や近隣住民、管理会社、破産管財人などです。例を挙げて説明するときりがないのでポイントだけ説明します。

『関係人の陳述等』を読み解くポイント

執行官は陳述を通じて三点セットを読む人へメッセージを送っている。例えばちょっとおかしな占有者がいれば、コミュニケーションがうまくできないとか、正常とおもわれない反応があるなど『ちょっと厄介な人がいますよ!!』って信号をおくってきます。そのような信号があるかないかを注視します。

・執行官とのやり取りがスムーズなら「落札後の交渉もスムーズにいく可能性がある」と推測できます

・占有している人の人となりを見極めて、占有解除交渉の際の難易度を図る(やばい奴ならスルー、逆にやばい奴であえて入札すればライバルは減る)

・空き家の場合は近隣住民の陳述が記されます。そこでいつくらいから空き家になっているか等の情報をえられます。基本的に空き家状態で放置されていると物件の状態はわるくなります。

ちなみにわたしは、統合失調症とおもわれる方が占有している物件を落札しましたがその陳述書はかなりのインパクトがあり、期間入札3回目でしたwww だって『暴力的傾向がみられ、意味不明な事を連呼する」とかかいてるんだもんww

執行官の意見

執行官が現地調査を踏まえて、知りえた内容を記す。物件の接道状況や、家屋の状態、図面上と実際が違う場合など多岐にわたる。また権利関係などにも触れられることが多く、郵便物の状況から〇〇が占有していると思われるなどの記載もある。

問題点・懸念点もかかれるのでしっかり読み込んで、入札金額に反映させましょう。

図面・写真

一般的に物件の公図・地積測量図・建物平面図・間取りと現況写真が見られる。

図面関係は適宜確認の際つかえばいいし、評価書でも同じものが添付されるのでざっと確認しておけばOK。

重要なのは物件の現況写真です。

競売では内見が不可能なので(申請すればできるらしいけど、債権者の同意がいるとかで現実的でない)写真でしか中身の状態を把握できません。評価書や執行官の意見で、物件の不具合については触れられているがやはり写真で判断できることは多いです。ポイントは下記のとおり

写真を読み解くポイント

・各部屋の残置物の量を確認

・雨漏りなど厳重な不具合があるかどうかを確認

・傷み具合をざっくり把握し入札金額する際に参考にする

・家具やモノから家庭内の状況を推測する(お年寄り一人?とかなど)

・8〇3を思わせる変なモノがないか確認(たまに変なカレンダーとか、武士の置物とかあるww)

・写真撮影があるのに整理整頓をせず、部屋があれていたらある程度占有者の心の状態が推し量れる

『写真みても詳細わからねーよー』という意見が多いとおもいます。ですがここが競売の醍醐味とおもって『察して推し量って想像する』てのが大事です。

 

最近はようやく、写真の残置物を見て『大体これくらいの撤去費がかかりそうだな』とか想像できるようになりました。

あわせて読みたい

『評価書』の読み方

評価書の構成

評価書の構成は下記のとおりです。

①評価額を土地・建物で表示⇒この金額を導き出した根拠をこの後の資料で明示していく

②土地・建物の利用概況⇒一般不動産の物件明細にあたり、物件の状態・価値・問題点を理解するために重要

③評価額の計算方法⇒いろんな計算をしている。ざっくり説明すると評価額と標準画地価格から金額を導きだし、競売補正の*0.7を行って導き出す。したがって理論上では競売物件の標準価格は一般の*0.7という建前になってい。

確認すべき項目は?

物件の概要書に近いので、すべての項目にざっと目を通して入札価格の検討に加味します。ざっくりと重要な確認すべきポイントは下記のようになります。

まずは物件の評価額を確認。

土地の概況では次の点を確認します。

 ①最寄り駅との距離

 ②用途地域や建蔽率(将来売却しやすいかどうか?)

 ③接道(接道は強いか、再建築は可能かどうか)

 ④ライフライン確認

 ⑤特記事項の有無(再建築不可や土地になんらかの懸念点がある場合記される)

建物の概況では

 ⑥建築年月日(法定対応年数から建物の価値をはかる)

 ⑦特記事項 建物に懸念点があればきされる。例えば容積オーバーとか、未登記であるなど。

を中心に確認する。

次に、該当物件の土地の『標準画地価格』が記載されているのでこの金額をつかっておおよその土地の価値を把握する。築古戸建て物件だと、相続路線価が記載されていない土地ばかりなので積算価格が出しずらい。

各銀行によって、相続路線価のない場合の土地の評価方法は異なるので一概にいえない。参考の指数としてこの価格でざっくりと把握しとく。

評価書で一番大事な項目は?

評価書の中でわたしが一番先に確認する項目があります。

『市場性修正』という項目です。

この市場性修正は上記のとおり、評価書のだいぶ後ろのページに書かれている数字です。

競売基準価格の出し方は

不動産鑑定士がはじいた価格*0.7(競売補正)で導かれます。これが基本です。

ただし、その物件の価格にインパクトのある問題がある場合さらなる掛け目が入ります。それが『市場性修正』の掛け目です。

 

この市場性修正は、通常物件に問題のない場合は「1」です。なので掛け目無しと同じ意味です。難かしらの問題があると、例えば崖条例に引っかかるや賃貸需要が弱いや死体が花壇からでてきた、建物がななめってるなどです。

それぞれの問題点に応じた掛け目が入ります。花壇から死体が発見された物件では掛け目が「0.6」はいってましたww具体的な掛け目の理由は欄外に記されます。

ここで大事なのは、まずこの市場性修正を確認することによってその物件に癖があるかないかが瞬時で判断できるということです。ですので三点セットをみたら、まずはこの項目を確認!1であるなら直な物件なので、安心して読み解きます。1未満であるなら、その原因を確認しながら精読するイメージです。

最初のうちは1のみをチョイスし、1未満の癖のある物件はスルーするのが無難です。

まずは市場性修正の確認を!コレ大事です。わたしも後からこれに気付いて、最初から知っておけばよかったと後悔しまくりました。

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三点セットの注意点

色々長々と書いてきました。情報なので全部が大事なんですが、そのなかでポイントは列挙したつもりです。あとはケースバイケースで理解が必要なことがでてきます。そちらもおいおいまとめてみたいと思います。

執行官がつくってくれた三点セット、注意すべきポイントがあります。一般媒介で業者から不動産をかうと我々一般買い手は消費者保護の観点から様々な形で守られます。競売においては消費者扱いされませんし、三点セットで記された内容は権利関係含めて確定したものではないとされています。

すなわち、内容がまちがっていたとしても裁判所は責任を負いません。(当然重大な見のがしなどはキャンセルの対象となるようです)以前浄化槽とかいてあったのに、簡易水栓だったのでぶち切れましたがそれも落札した人の責任になりますww

まとめ

あまりに長くなりすぎたので、ざっくりと三点セットの確認すべきポイントを纏めてみます。

三点セットの確認ポイント
①まずは市場性修正確認し「1」であるか確認

②権利関係が所有権で100%持ち分があるかチェック

③物件明細書で「なしーなしー本件所有者が占有ーなし」かどうかを確認

④陳述で権利関係と占有者の人となりを確認

⑤写真で想像!

⑥評価書から物件の価値を判断

大まかにまとめるとこんな感じです。こうすれば素直な物件をチョイスすることができます。当然、素直な物件は参加者も多く価格も高めになる事がおおいですが最初は仕方ないと思います。

経験をつんだら市場性修正が1未満の物件を選んでけばOKですww

 

今回は以上になります、お付き合いありがとうございました!

 

 

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